レコードバカのガクブル噺
2019年 07月 07日
さて写真をご覧ください。これは「ひこうき雲」のファーストプレスで、超レア盤です。ジャケットのセンター上部に「ALFA」というロゴがデカデカとプリントされてます。
これはリリース当時、村井邦彦氏が立ち上げた新しいレコードレーベル、アルファが、自らの新レーベルの門出を誇らかに宣言すべく刻印したものですが、このレコードを配給したのは販売委託を受けた東芝音工で、このロゴに対して東芝側からクレームがついて結局店頭から回収される騒ぎとなりました。
またたしかジャケットの背にプリントされたクレジットに「荒井由美」と、「実」と「美」を取り違える誤植があったのです。
その後、ALFAロゴが小さく片隅にプリントされ、誤植が残ったバージョン、ロゴが無くなったバージョン、見開きだったジャケットがシングルジャケに変更され黒い帯がついたバージョン、そしてアルファレコードが自ら販売した時代の白帯バージョン、松任谷由実以前の荒井由実時代のボックスセット、やがてCDと、いろんなバージョンが世に出て行きます。それぞれに前回紹介したマトリクスやレコード番号というものが振り当てられ、識別できるようになっています。面倒ですよね。
ぼくはこのオリジナル盤を、とある田舎の古本屋にゴミ同然の状態で置かれていたジャンクレコードのダンボール箱のなかから見つけて即買いしました。もちろん超レア盤だってことは知っていたので、膝が震えるというほどじゃないけど、一瞬興奮しました。まあ人によったらガクブルものですね。そのときほかにも八代亜紀のライブ盤など数枚買ったと思うんだけど、やっぱりひこうき雲のインパクトで他が何だったかは忘れました。
ただしぼく自身は音楽とジャケットのアートが好きなだけで、必ずしもレコード収集が目的ではないので、高い値段がつくレコードは頃合いを見計らって売り払います。
このレコードは初夏のころ、インターネットで6万8900円で売れましたが、ぼくにはもっと高い値段で売れた経験がほかにもいくつかあるので大して驚きはしませんでした。
これがオリジナルの帯、いわゆる「銀帯」がついていてキレイな「完品」状態なら、今なら20万円は行くと思います。当時はまだ若手ベーシストだった細野晴臣さんら腕利きのミュージシャンがレコーディングに大結集していることなんかからも、このアルバムの価値は近頃うなぎのぼりです。
ぼくは当然、ゴミのような値段で買ったわけだけど、ぼくは世界中どこに行っても、レコード屋さんに立ち寄るクセがあるので、(自分で言うのもなんだけど)その時間と情熱の報酬と考えれば68900円は全然高くはない、ぼくはそういう価値観です。
ミュージシャンやシンガー、タレントが亡くなってレコード価格が跳ね上がったりするのはたまらなく嫌なので、ぼくはわりとすぐ売り出す性格なんです。
次回は、先にご紹介したマトリクスにまつわるお話を。
by nishi-toco-hill
| 2019-07-07 00:46
| 音楽生活